翔全繋互

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曲の背景を捉える

アニー・ムーア(1877年~1923年)はアイルランドからアメリカに移住した移住第1号の15歳の少女。

アニー・ムーアは1877年生まれです。1877年といえば、日本は明治10年です。西南戦争があった年、日本初の大学である東京大学が設立、エジソンが蓄音機を発明、そんな年です。

アイルランドのコーヴ港というところから幼い弟2人とともに、先に移住をしていた両親と兄の待つアメリカに旅立ったことを記念して、コーヴ港には銅像が建てられているくらい、知名度がある人物だそうです。

日本も1900年前後にアメリカに移住する人がたくさんいました。2010年にはそんな日系アメリカ人を描いたドラマ、99年の愛が放送されています。

アイルランドはイギリスの隣の国。大西洋を渡り10日以上かけてアメリカにたどり着きます。その航海は決して楽なものとはいえなかったでしょう。

最近、テレビ放送されて話題となっていたタイタニックですが、こちらは1912年の海難事故です。イギリスからアメリカのニューヨークに向かう豪華客船の処女航海で氷山にぶつかり、船は沈み、多くの方が亡くなりました。アニー・ムーアの作曲家である樽谷雅徳さんの代表作に「マードックからの最後の手紙」という曲があります。このマードックとは、タイタニックに乗船していた一等航海士です。映画とは異なり、マードックは最後の最後まで乗客を一人でも多く救おうとしていたという証言が多く残っています。

近い時代の似た背景を持つ同一人物が作曲した曲を演奏するので、こちらの作品もぜひ聴いてみましょう。作曲家の描きたかった、見せたかった情景がより鮮やかに見えてくるかもしれません。

曲を演奏するうえで、楽譜通りに正しく演奏することは大切なことです。正しく吹くうえで、曲の背景、作曲家の思いを汲み取ろうとすることも大切なことです。そのうえで、自分はこう表現したい、こう解釈した、という考えが必要になります。

その曲が持つ力を捉えてみましょう。